玄     

備前焼 玄明の作品につけられているサインについて

私の作品に描かれているサインに一つのこだわりが有ります。
この玄明の「玄」という文字は、辞書で調べると次のように出てきます。

1 赤または黄を含む黒色。

2 老荘思想で説く哲理。時間・空間を超越し天地万象の根源となるもの。

3 微妙で奥深いこと。深遠なおもむき。

要するに、訳が分からない、目には見えない、説明のしようが無いけれど
有って在るものといった意味でしょうか。

粘土の固まりをロクロの上に載せて成形し切り糸で切り離したままの所に描かれています
その渦の中心に「玄」とサインしていますが、
この意味するところは、そこ(底)を土台にして「玄」なるものから始まり
「明」なる世界が開けているということを表現しようとしています。

比喩として、銀河の渦巻きの中心にはブラックホールの存在が考えられ
巨大な質量から光すら出てこられない世界があることにも似ています。
仮説としてホワイトホールの存在も想定されていますが、
まだまだ、科学的にも未知の領域のようです。
しかし、古来から世界中で、この宇宙は、陰と陽の要素で全てが成り立っている
と言われるように、突き詰めてみるとたしかにその痕跡が至る所にあります。
比喩的に単純化して2分法で見ると、
私の独断と偏見かもしれませんが、次のように断言できると思う。


「すべての事象は、陰と陽で成り立っている。」

陰とは、見えにくいもの・右脳的なもの・空間的なもの・調和を意味するもの
陽とは、見えやすいもの・左脳的なもの・時間的なもの・進歩を意味するもの

これは、私の分類方法ですが、
さらに言葉を変えれば、「思い」と「行い」とで成り立っているとも言えるでしょう。
粘土で作品を作るときもそうですが、人生も同じ要素で出来ています。
コイン(紙幣)も裏と表が有るように、
明なるもの(価値)だけで存在しているわけではありません。
その価値を保証し支えているもの、目に見えるように表現は出来ないけれど
一言で言うならば「信用」が背景には有ります

私たちが住んでいる目に見える「明」なる世界も
目に見えにくい「玄」なるもの
霊的なもの(心)と重なって存在している。
私たちの身の回りで展開されているものは、
その心が、そのイメージが具体化されているにすぎない。
目に見えにくいもの「玄・陰」と見えやすいもの「明・陽」
その両方を見ていかなければならないと考えています。
そのような意識で、作品づくりをし物事を考えています。

岡山県加賀郡吉備中央町北546
備前焼  玄明   
Tel. 0866-55-6968 Fax. 55-6969