「雨が少ないからといって、上流に降る雨を強引に下流域に移し替えると、飢饉が起きる」

 
■気の流れにも陰陽がある

経済を考えてみると、上の図のようになるでしょう。

自然の摂理は、上流域に多く雨を降らせ次第に下流域を潤していきます
水不足だからといって上流域に降らす雨を取り上げて
下流域に直接流すと、当然の如く飢饉が起こります

水の流れは大地の表面だけを流れているわけではありません
この大地の中にも大きな川の流れがあります
目に見えない流れが有ります

比喩で見れば、地表を流れる川は、「お金」でしょう
地下を流れているのが、「仕事」でしょうか

経済のお金の流れを考えるときに
陰陽両方を見なければとんでもない間違いを犯すことになります

比喩で考えると、上流に位置するのは、銀行、大企業、ゼネコンなど
下流に位置するのは、中小企業、小売業、サービス業、
そして、それらの中で働いている国民市民
私の仕事の、手作りの陶芸などは、下流も下流、海岸近くにあるものです。

上流も下流もすべて役目として社会を構成している、なくてはならないものです。
これも陰と陽の関係で、景気の流れもこれを無視するなら
その流れは止まってしまう。
上流域を攻撃することは、下流への水の流れを破壊するに等しいでしょう

■格差、派遣切りはやむなし

人間の体の血液も、動脈と静脈を通って流れています。
これも陰陽の関係で、手足の血流が不足しているからといって
肺とか肝臓とか心臓、体の中心部分に流れる血液を絞り込んで
末端の手足に振り分けると、その本体は衰弱し
やがて、その手足も存在できなくなる。

自然の摂理は、人体などでも、冬山などで遭難しそうになったら
手足の血流を絞って凍傷という危険にさらしても
本体を守ろうとする働きがあります。
本体を守ることができれば、凍傷ぐらいなら後で直すこともできるでしょう
本体を衰弱させると、その回復には時間もかかるし
本体が死滅すると、何も意味を成しません

「コンクリートから人へ」や「国民生活重視」という言葉に説得される
その気持ちはわかるけれど、この政策を支持し、
こちらに偏るならば大変な未来を引き寄せることになる
両方の気の流れを見ながらやらなければいけないのに
選挙目当てで甘い政策ばかり提示すると
私たち国民は、どうしてもそちらに流されがちです

個人消費の刺激策という意見も有るでしょうが、
全体が暗く沈みそうなときには、
国民のいうことに耳を傾けすぎてはいけないのです
将来の国家国民のために、今何を成さねばならないのか
国民の反発を受けようとも、未来のために成すべきことを成さなければ
その国家は死滅するでしょう

格差は必要なのです
これは、差別ではなくて
それぞれの役目として与えられているとも言えるのです

派遣切りも仕方がないのです
大企業、銀行優遇もしかたがないのです
公共事業も大切なことです
市況が低迷し、企業も新たな仕事を産み出す気力が萎えているときには
国家の将来に向けた大切な公共投資が不可欠です。

現に、今、私たちが受けている恩恵は、
過去の公共投資の積み重ねの上に成り立っています。
後から来る人たちのために、すばらしい国土に作り上げる努力を
惜しんで今現在の事しか考えないならばそのツケは
やはり私たち自身が払わなくてはならなくなるでしょう

「コンクリートから人へ」という政策を実行に移していくならば
この日本という体は、ずたずたになってしまうでしょう
人気取りの政策では、今後、どうなっていくかは明白なことです。


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