陶芸体験      (2012年8月)


 この地は、元全日空の社長で日中国交回復の為に働かれた岡崎嘉平太さんの出身地であり、この窯の土地もその親戚の方から譲り受けた所です。

「信はタテ糸 愛はヨコ糸、織りなせ人の世を美しく」

この言葉は、氏が色紙によく書かれていたものですが、
これは、まさしく、私のフラクタルの森の考え方と同じなので
陶芸体験の時にこのことを例に出して話をする事が有ります。
毎年、岡崎嘉平太記念財団の奨学生たちが墓参の時に工房にも来てもらい
土ひねり体験をしてもらっていますが、その時にもこの話を出します。

織物もタテ糸(陽)とヨコ糸(陰)が有るように、
山も高さとすそ野の広がりがあって山の形が決まります
全ては、このように垂直方向の力と水平方向の力でなりたっているようです
このように進歩と調和の2つの要素が有り
そのクロスする力が無ければ、何事も成り立たないようです

粘土で器を造る時にも、両手を使い指でつまみながら成形をしていくわけですが
指でつまんで薄くしていくタテ軸の力と
両手で寄せていくヨコ軸の力が同時に働かなければなりません。
ここでも、2つのタテ軸とヨコ軸の力加減で行われ

ヨコ軸の力は分かりにくいせいか
普通は、ドンドン横に広がっていきます

タテ軸のつまむ力は、例えるなら「自我力」
ヨコ軸の寄せる力は、例えるなら「協力し合う力」「愛の力」

ほとんどの方が、いくら説明しても広がってしまいます
このような所にも陰陽のバランスが大切な事は出ています

更に、「土を締める事の大切さ」を言うのですが
これをしなければ出来た作品が歪んだり割れたりします。
土を締めるとは、分析的に見るとこの二つのクロスする力が必要だと言う事
思い通りに粘土を動かし形を作っていくわけですが
思い通りに動かした後には、必ずフォローする力が必要です
要するに、加えた力と交差する力です
その力で土を締める事が出来ます。

このような事は、何に対しても言える事で
例えるなら、優しさと厳しさでもあるでしょう
例えるなら、助け合う力と自助努力の力でもあるでしょう
調和させる力と進歩させる力です

素晴らしい世界を造っていく為には
この陰陽両面の力を意識しながら使わなければなりません

「信はタテ糸 愛はヨコ糸、織りなせ人の世を美しく」
まさに、陽と陰の要素で世界は成り立っています。
その要素が、人間の左脳と右脳のクロスした形の中にもインプットされていると
考えるのが「フラクタルの森」です

論理的なものと  (どのようにして・どうしたい)  目標
感覚的なもので  (なにを・なぜ)         目的
成り立っています

この目的と目標がごっちゃになって、片方の力だけでやっている事で
人の心も蛇行し苦しみ、社会も蛇行して不幸社会を造りだしているのだと考えます

単純な陶芸体験ですが、この単純な体験のなかで
結果にだけ振り回されず、中身の詰まった本質的な成果に至る道筋を
見つけてもらえば幸いです。


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