かつて貧乏学生自炊生活だった頃よく作った料理がある。
料理なんて呼べるほど手の込んだものではないのだが、まぁ言ってみれば鍋料理のジャンルになるのだろうか。
ある日テレビを何気なく見ていると、旅番組でどこかの地方へ行ったリポーターが食べていたものを勝手に真似て作ったのが始まりであった。

材料はもやしと豚のスライスのみ。
ポン酢でいただき、薬味に七味唐辛子や一味唐辛子を使う。

食す季節は初夏から晩夏が望ましい。根拠はない。

作り方は至って簡単なのだが、用いる鍋がちょっとポイントである。深めのホットプレートタイプの鍋がぜひ欲しい。無ければカセットコンロと通常の鍋でもいいかもしれないのだが、その場合火加減に細心の注意を払わなければ鍋底にもやしが焦げ付くことになる。

まずは材料の準備から。
もやしを軽く洗う。実際には既に洗浄後に袋詰めされているそうなのだが、なんとなく洗うのだ。
次に豚スライスを適度な大きさに切る。バラでもロースでも部位はかまわない。一口大、火が通りやすい厚みにすることが重要である。

次に調理。
深鍋ホットプレートに満遍なく洗ったもやしを敷き詰め、その上に豚肉を火が通りやすいように配置する。
ふたをして火を入れる。この場合、ガラス製のふただと中の様子が分かりやすいのでまことに便利がよろしい。水などは一切入れなくてよろしい。

その間にポン酢を用意し、薬味も用意して正座して待つ。

適度に肉の色がよろしくなってきたら火を止め、ふたを開け、おもむろに食すべし。

食し終わったら次のラウンド開始である。再びもやしを敷き詰め。肉を配置して加熱せよ。


とまぁこんな具合で非常に簡単かつ低予算で、しかもかなりうまいのだ。おまけに汚れ物も少なくてすむしね。
蒸し煮された豚肉ともやしの絶妙なるコンビネーションをポン酢と唐辛子が見事に昇華し美しいハーモニーを奏でるこの料理に合うのはカゴメ六条麦茶である。ぐいぐい飲みなさい。

二十歳そこらの野郎の胃が満足できる量として、一人前でもやし1.5〜2袋、肉は応相談というところ。
細切りにしたニンジンをもやしと一緒に投入してもいいだろうし、薬味に小口切りにした葱を散らしてもうまいだろう。そこらへんは各自の研鑽を期待するものである。
ただし、豚肉を牛肉や鶏肉でやるとあまりよろしくないという報告も聞いているので注意が必要だ。

さぁ、これで食欲を刺激されたならレッツトライである。スーパーへ走れ!


著:戦車




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