落書きというやつはタチが悪くて、しかも後を絶たないものだ。
昨今ではチームやグループ、または個人をあらわすチームロゴか名前のようなものを書き付けるタギングという行為が際立って目立つ。これは簡単に言えば動物の行う縄張りのマーキングであるそうだ。
確かに身近にあるタギングを見れば、実は数種類しか書かれていないことが分かる。つまり縄張り抗争をやっているということだろう。それらは基本的に崩したアルファベットで構成されていて、極めて読みづらいものが多い。
無論こういったものは違法行為であり、かかれている場所は他人様の個人資産(ガレージのシャッターなど)であるからがっちり取り締まりと処罰を与えてやって欲しいと思うのだ。大体そこはおめーらの縄張りじゃねーっつーの。よその家のガレージだよ。

そういうアートでもなんでもない、ただの落書きにすぎない物の中に時として物凄いセンスを見出すことがあるのもまた事実。

以前見かけた落書きは、高速道路の高架下のコンクリート壁面にかかれていた。その高架下を走る山道には2箇所落書きがあり、おそらく同一人物の手によるものと思われるものだった。
黒いスプレーで殴り書きされていたその文句。

「ドロボーフォーラム21」

これを見たときの衝撃は今でも忘れない。ドロボーとフォーラムと21を一体どんな人物がこのようにコンビネーションさせたのか。絶妙である。また口に出したときの語呂の良さという部分も評価が高い要因だ。
しかも、この落書きの2つ目の方には「ドロボーフォラム21」と確実な誤字がある。微妙なアイタタタ感を醸し出しているあたり、さすがである。これはどちらも既に塗りつぶされているためにもう目にすることはないのだが、まぁそんな存在なのだ。落書きって。

それからまたこれは別の落書きの話であるが、友人から聞いた話。
その友人は飼料の輸送をやっていて、海外(台湾)からのコンテナの中身を移動させていたところ発見した国際派な落書きである。

そこには「肉在肉中」と丁寧な文字で縦書きにされていたらしい。

何かのスラングではないかとネットを使って調べたものの、「肉の中に肉が在る」というそのまんまの意味しか得ることは出来なかった。今もって謎のままなのだ。意味不明な上、凄いインパクトである。



その後の調べにより、これはどうやらエロティックな用語だということが判明。なるほどなぁ、そのまんまだ。



著:戦車




戻る