先日の話。

ある友人に久しぶりに会った。
どういうわけか、メイドカフェの話になった。


昨今、メイドカフェなる喫茶店が流行している。
ウェイトレスの制服が、いわゆるメイド(このメイドって言葉、一時使用できなくなってたはずなんだが…)スタイルのドレス風になってて、なおかつお客のことを「ご主人様」なんて呼ぶという基礎的な知識は現代人にとって蛇足な説明かもしれない。

んで、そういったメイドカフェの中には”正しくない”タイプが蔓延っていて嘆かわしい、と彼は言うのだ。
正しくないメイドカフェとは何か。

ひとつ、一般の客がいない。いわゆるアニメ系オタクの巣窟のような場所。
ひとつ、アニメキャラのコスチュームプレイ等で撮影会なんかを有料で定期的に行っているような場所。
ひとつ、店員(メイド)がアイドル気取り、もしくはそれに近いようなそぶりを見せる場所。
ひとつ、珍妙なメニュー。

しかし実際はそういうメイドカフェがほとんどであろう。
でも彼は言う。
そうでない喫茶店もある、と。
近所のおばちゃんもやってくる。八百屋のおっさんもやってくる。営業マンの時間つぶしもやってくる。
ウェイトレスはメイドの服装で普通に対応する、そんな店。

あるんだそうだ。


彼はこうも言っていた。
理想的なメイドカフェスタイルとは何か。

それは現実的にはありえないシチュエーションだが、と前置きして彼は語った。

…お金持ちの友人が英国で邸宅を持つことになり、そこへ自分が招待される。
もちろん、英国なので現地の風習に従い、ティーなどをいただくことになる。
友人との楽しい語らい、その影で甲斐甲斐しく世話をしてくれる美しく可憐なメイド。

お金持ちの友人は所用で少しの間、席を立つ。
時間をもてあまさないよう、メイドは軽い話題を投げかけてくる。

しばらくするとまたお金持ちの友人が戻ってきて楽しい会話が始まる。
無論、メイドはその会話に加わることは無いが、優しい笑顔でティーの世話をしてくれ、またその姿を微笑ましく眺める自分がそこにいた…。

そう、メイドとの楽しいひとときを過ごすのは撮影したりコスプレしたり飲み物をまぜまぜしてくれたりケチャップで食べ物に落書きされたりなんてとこには無いのだ。


メイドは目で愛でる。
彼はそう締めくくったのであった。


ワシにはよーわからんが。


著:戦車




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