空




そして太陽の光で水平線はキラキラと光っている

水平線の上には幾層もの入道雲

山のように、どっしりと構えている入道雲

容赦ない暑さが体を襲う




 それでも




小学生の体には心地よい

平気で暑さを受け入れてくれる



今は夏



水天宮さまの先にある古ぼけた木の橋

それを通り抜けると視界から水平線は消える

その代わり目の前に飛び込んでくるのは一本の坂道

坂の向こうにあるのは黒い松林

松林から響く幾百の油蝉の鳴き声



息を弾ませながら坂道をのぼり始めると松の臭いと土ぼこりの臭いで鼻がツンとする





坂の向こうに





視界に映る黒い松林と白い空間の影絵のような世界

影絵の世界から抜けたとき




坂の向こうに


坂の向こうに








 夏の海が雄大に待ち受けている











著:Asobin




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