目が覚めた。
つむった目でも判るほどに外は暗いようだ。
その時、異変はすでに起こっていた。
明瞭な意識に反して体が動かないのだ。
世に言う「金縛り」と言うものだろう。

怪談の予備知識があるだけに自分の身に起きたとなると、恐怖のあまり目を開けることが出来ない。
動かない肢体を何かが押さえている様な感覚が更なる恐怖を呼び起こすのだ。

そんな状態でどれくらいの時間が経ったのだろう・・・?
ふとした拍子に目が開いた。
幸いそこには、いつもの光景があった。


以前にも似たようなことがあった。

それは冬の真っ只中。
朝、目が覚めると、体を起こすことが出来ないのだ。
初めて「金縛り」にあった私は恐怖ですくみあがった。
意を決して目を開けると、冬物の重たい綿布団が3枚もかけてあったのだ。
これで動けるわけが無い。
母親の「寒いだろう」という親心。

要らん事をするな。



著:うり




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