私がまだ小学生の頃、爆竹の流行った時期があった。
夏休みに入ったという事もあり、午前中から友人達と身の回りの物に発破をかけて遊んでいたのだ。
ひとしきり遊んで発破をかけるネタも尽きた頃、時間もお昼時に差し掛かった。

そうして私が昼食を摂っている時である。
TVで徹子の部屋が放映中だったのだが、その時のゲストにジャッキー・チェンが出演していた。
子供に大人気の彼が出演と言うことで私も楽しく拝見していたのだが、その中で私を妙に引き付ける話題があった。
彼も幼少の頃爆竹で遊び、色々な物に発破をかけてきたと言うのだ。
その中でも衝撃的だったのが「犬の糞」である。
当時、犬の放し飼いは割りと公然と行われていたため、道の脇に犬の落し物は豊富であった。
この瞬間、彼は私の遊びの師匠となったのである。

食事を済ませ、友人達と合流した私は周囲のターゲットを捜索し、発見と同時にこっそりと爆竹をセット。
おもむろに点火するや否や、猛ダッシュで逃亡したのだ。
友人達とて馬鹿ではない。事態に気付くや半狂乱で逃げ回り、あたりは大パニックとなった。
そうして始まる報復の連鎖。報復が報復を呼び、阿鼻叫喚の地獄絵図。
いまだかつて経験したことの無い緊張感に皆が疲弊した頃、鮮やかな夕日が戦場を染めた。
闘いは終わったのだ。
気力・体力共に使い果たし、夕日を見る少年達の目は美しかった・・・。


著:うり




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