かばん屋さんの友達から聞いた話なのですが、今みたいに個人情報の規則が厳しくなかった頃の話です。
60歳くらいの男性がお店に入ってきて
「ハンドバッグ探してよ。 私の息子の嫁がそりゃまたいい人なんだよ〜♪ 彼女にプレゼントしたいんだよ〜」
とご機嫌なご様子。そのお嫁さんはとてもかわいくて気が利いて優しくて、本当にいい人が嫁に来てくれたとベタ褒めだったそうです。
彼女の薦めた、その当時流行だったお洒落なバッグを購入し、帰って行かれました。
彼女もいい仕事ができたと販売冥利に尽きたことだったでしょう。

ところが、そこで終わっていたら 心温まるいい話で終わっていたんですが、世の中甘くはありませんでした。

次の日そのおっちゃん(いきなり「おっちゃん」に変わります)から電話があり、
「昨日の代金の領収書を書いて欲しいんだよ〜。私の奥さんが会社やっててね〜♪その名前できって欲しいんだよ。遠くてなかなかそっちに行けないから僕宛に送ってね」
「かしこまりました。」

と電話切ったんですけど、後になって領収書の件で伝えなくてはいけない事があったのでご自宅まで電話したんです。

そしたら奥さんが出てこられて、事情を説明してお伝えしようとしたら反対に奥さんから
「なんですか? うちの主人がバッグ買ったんですか?誰のですか?」と色々と質問されちゃって
「あの〜、お嫁さんへのプレゼントと言うことでしたが。。。。」
って言っちゃったんですって。

そしたら後日、遠いからなかなか行けないと言っていたはずのおっちゃんが血相変えて店に飛び込んで来て購入したバッグを差し出し、
「これそっちで預かっててくれないか。後で本人がもらいにくるから」と言って頼んでいた領収書も受け取らずそそくさと出て行ったんだそうです。


「一体何があったの???」

だいたいの想像はつきますよね・・・・よくある話です。(よくあるの・・・?それ困るんですけど・・・)

その後、当の「ご本人様」が受け取りに来られたその姿で謎は解けました。
夜商売の人だったんです。その人・・・・。
しかも奥さんの電話の様子から、そのご夫婦にはお嫁さんはいない感じだったらしい。
思わぬ所で浮気がばれちゃったのね。

欲張って奥さん名義の会社経費で落とそうなんてするからですよ〜。
しかももっと気の毒なことに、彼女はそのバッグが気に入らずもっと高いのに変えて欲しいと要求。
おっちゃん遠いのに三回も店に訪れなくてはならなくなったのですと。



著:みこねー




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