■ 何無驚譚 ■
何ひとつ驚きのない物語



匹頭羽

----- 高梁 7月 [高梁版]






匹頭羽
----- [全国版]





[おうちのかたへ]

数え方の語源
 数え方の語源。伝統的な匹がお尻、明治以降の頭の対比の面白さ。
 一般的に大きな動物が頭で、小さな動物や虫は匹ですが、どちらが正解ということはありません。
 匹の方が音が柔らかく話し言葉的でしょうか。
 虫をつまらないものと見下すのは、欧米の真似に過ぎません。

柑の虫
 柚子の木には夏になると揚羽蝶が必ずやってきます。
 並揚羽(なみあげは)黒揚羽(くろあげは)は、山椒や柑橘系の、
 味がきつくて他の虫が食べない葉っぱを食べて大きくなります。

名前の当て字
 ここでは蜜柑の仲間を食べる虫なので、柑の虫と呼んでいます。
 姿を何回も変える揚羽に、匹頭羽(あげは)と当て字しています。
 身近な生き物は見たまま好きに、呼んでほしいと思っています。
 まるむし、わたむし、とげむし、自分達だけで分かればいいのですから。

生き物への興味
 身近な生き物の観察は、好奇心に始まり、自分から調べる事や知識を深める喜びを知る事につながります。
 現在の大手出版社の図鑑は珍しい虫を大写しにして、身近な虫を調べる手助けにならないものが多いのが残念です。
 様々な生き物が、それぞれの戦略と領分で、住み分けている事に気付いて欲しいものです。

揚羽の観察
 揚羽は飼いやすく、姿を次々と変えるので見ていて飽きません。
 ぱりぱり音を立て葉っぱの軸を残してきれいに食べていきます。
 どこにでもいる揚羽ですが、都心にない生き物は、勿体ないことに教材にされません。

 虫を遠ざけず、知識の扉の入り口に立てることを願っています。
 虫や蛙や鳥の、声の初めて聴こえた日を書き留めてみて下さい。
 小さな声の聴こえる暮らしに、気付く事ができますように。











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