■ 何無驚譚 ■
何ひとつ驚きのない物語



安口魚

----- 高梁 12月 [高梁版]






安口魚
----- [関西版]





[おうちのかたへ]

鮟鱇(あんごう/あんこう)
 鮟鱇(あんごう)は山椒魚の地方名で、古くは全国的な名前だったのかも知れません。
 大きな口が似ている、深い海にすむ魚に名前をとられて、押し出されてしまいました。

悪口表現
 その鮟鱇(あんごう)はある地域の、阿呆馬鹿表現でもあります。
 ぽかんと大口をあけた様を山椒魚になぞらえた、生き物由来の珍しい柔らかな悪口です。

山椒の魚
 さんしょう魚なのか、さんしょ魚なのか、そもそも正しい名前とは何でしょう。
 鮟鱇(あんごう)の多く住む地域でも、それを関東式にさんしょう魚と呼ばせるべきでしょうか。
 近年の呼び名「はんざき」が、よりふさわしいと思うのですが。

安口魚(あんこうお)
 鮟鱇の半分とって安康魚(あんこううお)、大きな口からとって安口魚(あんこううお)。
 話し言葉による変化を経て(あんこうお)、作中ではそう呼ばれる架空の名前。
 使われなくなりつつある、その地域での名前たち。それはいつ誰が呼びはじめたのでしょう。











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