吉備高原都市とは?

吉備高原都市は、岡山県が、岡山県のほぼ中央部にあたる加賀郡吉備中央町竹部、上野、高山、加茂市場、湯山、吉川地区にまたがる標高300〜400mの高原地帯に建設を進めている新都市です。(県財政悪化のため平成10年度より、3年間事業を凍結)

昭和49年に岡山県が策定した「岡山県総合福祉計画」は、これまでの県政の指針を経済優先から福祉優先へと転換させる画期的なものでしたが、この構想を具体化させるものとして計画されたのが「吉備高原都市」でした。その当時、吉備高原一帯は、中部真空地帯とも呼ばれ、交通の便も悪く、開発とは縁遠いところでした。ところが、岡山県の中央部であることから、県内のいずれの地域からも利用しやすいうえ、未開発の丘陵が広がっているため、この吉備高原がクローズアップされることになったのです。

吉備高原都市は、赤松林に囲まれた中、人と人、人と自然のふれあいを大切に、地域の産業の振興、保健・福祉・教育・文化の中心を目指す未来の都市として建設が進められてきました。
吉備高原都市は、次の7つのゾーンで構成されています。医療・職業リハビリ施設をはじめ、授産施設や福祉農園が整備された保健福祉区、先端企業が立地する産業区、全寮制高校がすでに開校している研究学園区、人々のコミュニケーションの中心となるセンター区、展示・研修施設や野外活動施設の整備された自然教育・レクリエーション区、自然型区画や造成型区画に入居が進む住区、そして農業と都市の調和を目指す保全農用区
なお、吉備高原都市の区域がこんな形になっているのは、昔からある吉川地区の集落や農地などを残すように計画されているからです。ちなみに、後期計画のEゾーンに囲まれたところには、僕の生家のある集落があります。新都市の用地は、ほとんど赤松林の広がる丘陵地です。

吉備高原都市の空撮吉備高原都市略図

吉備高原都市前期計画

吉備高原都市は、昭和55年に着手した前期計画(432ha)が平成5年に完了しました。前期計画では、福祉・教育・産業面で先進的な施設が立地しましたが、定住人口が計画(5,700人)を大きく下回り、人口集積の面では失敗といわざるを得ません。これは、就労の場が少ないことや、行政施設、小学校などの教育施設が十分整っていないなど、都市機能がまだまだ不十分であることが原因です。後期計画でも、住区の造成が進められていますが、都市機能の早期充実の方を望みたいです。


吉備高原都市後期計画

引き続き始まった後期計画では、「にぎわいと活気のあるイメージの福祉・文化都市」「アメニティの高い定住都市」「吉備高原地域テクノポリスの中核都市」を目指しています。後期計画の全体面積は前期計画の西側の約880haで、AからEまで5つのゾーンに分けられました。吉備高原都市略図(右上の図参照)の、ブルーの部分がAゾーンで、反時計回りにB、C、D、Eゾーンとなります。
このうち第1期としてA,BゾーンとEゾーンの一部(約390ha)を、平成15年を目標に整備します。C,Dゾーンと残りのEゾーン(約490ha)は第2期として段階的に整備を行う予定で、最終的には人口3万人の街づくりを目指しています。
吉備高原都市案内図

後期計画ゾーン
整備目標
計画内容
第1期
Aゾーン
平成10年度

  未定
造成型住宅用地420区画(18.7ha)・・・基盤整備完了
・岡山県住宅供給公社による分譲が平成9年10月から始まる。
教育研修・バイオ研究所用地(11.5ha)・・・基盤整備完了
・平成8年、岡山県生物科学総合研究所がオープン。
・岡山県総合教育研修施設の建設が計画されている。
研究産業施設用地(17ha)・・・平成10年度基盤整備完了予定
・医療機器などの医用工学関連産業の誘致が計画されている。
Bゾーン
平成15年度

  未定
住宅用地、吉備高原都市の文化発信機能を持つ伝統文化・交流の施設
Eゾーン(一部) 地元雇用を創出する工場公園
第2期 C,D,Eゾーン
未定
整備方針を検討中


現在は、前期計画の北西に隣接する、後期計画Aゾーン(180ha)の工事が進んでいます。Aゾーンの基盤整備は、前期計画に引き続き、地域振興整備公団が担当しています。

吉備高原都市産業区(分譲中)吉備高原都市産業区・区画図

吉備高原都市建設事業は、県財政悪化のため、平成10年度から3年間凍結されることになりました。(その後税収の落ち込みにより、県財政はさらに悪化したため、この事業が3年後再開される可能性は薄くなってきました。)
「吉備高原都市全体計画図」はこちらです。